これから海水浴へ行く予定のあなた。
このページにたどり着いたということはおそらく海に溺れたらどうしようと心配しているのではないでしょうか?
泳ぎに自信がない人は特に心配ですよね。
実際、海で溺れると2人に1人は死ぬという統計データもあり、かなり怖いです。
でも溺れそうになったときに助かるための対処法はいくつかあります。
この記事を読めば、万が一溺れても助かる確率が上がるのでぜひ参考にしてください。
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ねぇ老師。海でおぼれたときってどうすれば助かるの?
お、やべくん。海行くの?
うん。
でも泳げないの?
うーん。泳げなくはないけど苦手なんだよね。
なるほど。じゃあ無理しない方がいいよ。溺れると死ぬから。
こわいよ。とりあえず溺れた時の対処法教えて。
わかった。
っていうことで今回は海で溺れた時の対処法から、溺れないための対策について解説します!
海で溺れた人の約半分は死ぬ!
海で溺れることの怖さを舐めてはいけません。
2016年のデータですが
水難事故の被害者1742人中797人が死んでます。
割合を出すと45%!
つまり溺れた人の2人に1人は死んでるんです。
それだけ溺れると助かりにくい、ということです。
また溺れている人が沈むまでの時間は20~60秒と言われています。
しかも溺れているときは息を吸うことに必死なので「助けて!」と叫ぶ余裕なんてありません。
だから溺れていることに気づいてもらうのが難しいのです。
気づいてもらえたときにはもう沈んでて助けるには手遅れになっていることが多いです。
その結果、死亡率50%近くという残酷な数字になっているのです。
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水泳選手でも逆らえない海の離岸流の怖さ
海で溺れ死ぬ人のほとんどは離岸流に流されるのが原因です。
この離岸流に巻き込まれると水泳選手でも逆らえません。
離岸流とは?
離岸流というのは海の海岸側から沖合側に向かって流れる波の流れのこと。
簡単にいうと砂浜から海方面への海水の流れです。
砂浜にいると波が砂浜に向かってくるイメージがありますよね?
こういう流れの中で溺れた場合は砂浜に打ち付けられるので助かります。
でもこの流れが逆で砂浜から海に向かっていく流れの中で溺れた場合、溺れた人はどんどん海の奥に流されて行ってしまうので助かりません。
人を海の奥へ奥へと流そうとする波の流れ。それが離岸流です。
そしてこの離岸流、秒速1~2mmあります。
秒速2mということは30秒で60m流されるということ。
これに逆らって進むためには秒速1~2mより速く泳がなければなりません。
例えばオリンピックの水泳選手は50mを20秒台で泳ぎますが、これは秒速2m弱。
このスピードだとほとんど離岸流のスピードと打ち消しあって前に進みません。
つまりオリンピックの水泳選手ですら離岸流と引き分け程度、一般人ならまず勝てない、ということです。
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離岸流に流されたときの対処法
じゃあ離岸流に巻き込まれたらどうすればいいか?
対処法は意外と簡単です。
それは砂浜と平行に泳いで離岸流から抜けること。
離岸流の幅は20~30m程度なので横に泳いで抜けるのはさほど難しくありません。
しかしパニックになると方向感覚がわからなくなりますし、泳ぎが苦手な人はまず溺れるでしょう。
方向がわからないときは流されてる方向から90度横に泳げばいいです。
また泳ぎが苦手、または体力的に岸まで泳ぐのが無理な人は後で紹介する方法で水に浮きながら救助を待ちましょう。
離岸流の10倍速い逆潜流とは?
海で怖いのは離岸流だけではありません。
逆潜流というさらに怖い波があります。
逆潜流というのは海底の傾斜に沿って発生する波の流れのことです。
この流れに飲まれると海底に引きずり込まれることから、パニックになって溺れる事故が発生しやすいです。
実際2014年に新潟県上越市の海で5人がなくなった事故は逆潜流が原因と言われています。
逆潜流は図のように海底の形に沿って発生するので海の底に引きずり込まれてしまうのです。
しかもその速さはなんと離岸流の10倍!
とてもじゃないけど人間が逆らえる速さではありません。
逆潜流は海で急に深くなる場所で発生することが多いです。
逆に遠浅(海から遠方まで水が浅い区域が長いことでは発生しにくいです。
また砂利や石で構成された海岸で発生しやすいと言われています。
なので太平洋側では少ないですが、日本海側だと多いようです。
また海底に引きづり込まれるような流れであることから、溺れて助かった人は「誰かに足を引っ張られていると思った」と言ってるそうです。
恐ろしいですね。
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逆潛流に巻き込まれた時の対処法
海に引きづられる恐怖、逆潜流に巻き込まれたらどうすればいいのか、というと、いったん流れに身を任せることです。
というか離岸流の10倍のスピードである逆潜流の流れに人間の力で逆らうことは不可能です。
以下の図を見てください。
まず息をたくさん吸い込んで覚悟を決めたら流されるまま海底の方に沈みつつ、少し沖の方に流されます。
そしてしばらく流されて逆潜流の流れのスピードが落ちて着たところで一気に上に向かって泳いで浮上します。
その間に息が持たずにギブアップするか、パニックになって途中で浮こうともがくと失敗して死にます。
図で言うと①とか②で浮き上がろうとすると溺れて死にます。
③くらいまで耐えてから浮き上がるのが正解です。
しかし逆潜流は離岸流の10倍、つまり秒速10m~20mで進むので案外すぐに流れのスピードが落ちるポイントまでたどり着きます。
なのでよほど深いところでない限り息は持つはずです。
ポイントは覚悟を決めていったん海底に引きずり込まれるに任せることですね。
言えば簡単ですが、実際は海に引きずり込まれたところでかなりパニクると思うので言うは易し、行うは難しの典型ですけどね。
一番は深いところに足を踏み入れないことです。
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海に溺れても助かる方法「浮いて待て」とは?
海に溺れたとき、というのは離岸流に巻き込まれた場合と逆潜流に巻き込まれた場合があります。
しかしそのほとんどは離岸流です。
離岸流の場合、以下の方法を実践すれば助かる確率がかなり上がります。
それが「浮いて待て」
です。
浮いて待てを実践して溺れたけど助かった人がたくさんいます。
で、「浮いて待て」というのは言葉の通り、海上に浮いて待つこと。
人の体は水よりもほんの少し軽いので力を抜けば浮きます。
背浮きという姿勢をとって、浮いた状態で海から口だけ出して呼吸するとができます。
浮いて待てを実践して助かった事例
- 東日本大震災で避難所の体育館に大津波が浸入し、体育館に避難していた小学生の女の子が背浮きを実践したことで助りました。
静岡・伊東沖の行方不明者が約20時間漂流し、同40キロ離れた地点で無事救助されました。
広島県呉市沖で海に転落し行方不明になっていた80歳の男性が、9時間以上漂流した後に、ようやく救助されました。
浮いて待てを実践したどの方も救命胴衣などなしに服を着たまま、長時間海に浮き続けることで助かってます。
しかも力を抜いて浮くだけなので体力のない小学生や80歳の老人でも実践できる方法です。
ちなみにこの方法は「UITEMATE」として海外にも広まってます。
すごいですね。
浮いて待てを実践するために必要な背浮きのやり方とコツ
浮いて待てを実践するには、背浮きという浮き方を身につける必要があります。
そのやり方を説明し訳す。
背浮きのやり方
- 息をできるだけたくさん吸い込む
- 仰向けになり、両腕をバンザイ状態で頭の上に伸ばす。
- このとき手は水面より下にする
- 顎を少し上げて水面から顔だけ出し、呼吸を確保する
水の比重は1.0、人間は空気を吸うと0.98。
つまり、空気を吸った人は水より0.02軽いので、体の2%の部分は浮いて水面に出ます。
また海水は真水より重いのでこの比率が5%となります。
つまり、水面に浮こうとすると海なら5%、プールなら2%しか水面から出せません。
垂直に立っている場合、2%だと頭しか出ないので呼吸できません。
仰向けになると口だけ出すことができるので呼吸できます。
そのため、背浮き、という仰向けの姿勢になることが大切なのです。
仰向けになったら頭は耳まで水に浸かります。
本当に水面から出てるのはほとんど顔の表面だけ。
この状態が作れれば水に浮き続けることができます。
また、人の体の中で空気は肺に入ってるのでできるだけ空気を吸い込んで肺に空気を貯めてから背浮きをし、浮いてからもなるべく肺から空気を出さないようにします。
死んだ人が沈むのは水を飲みこんで肺に水が入って空気が抜けるからです。
人の体はあくまで肺に息を吸い込んだ状態で水よりほんの少し軽いので、息を吐き切ってしまうと浮かなくなります。
また、体脂肪率の高い人ほど浮きやすく、低い人ほど沈みやすいので痩せてる人や筋肉質な人は注意が必要です。
背浮きのコツ
背浮きのコツはこの動画を見るとよくわかります。
お腹を突き出すようにして、顎をあげるのがコツ。
手を下げたり、水面から出したり、顎を下げたりすると沈んでしまいます。
あとは落ち着くことですね。
息を吸いたくて顔を起こしたり、助けを呼ぼうと両腕でもがいたり、声を出すと沈んでしまうので。
また、服を着たまま靴を履いてるときと水着の時ではやり方が少し違います。
服を着たままで靴屋サンダルを履いているとき
靴を履いてるときはラッキーです。
なぜなら靴は水より軽いので浮きます。
そのため、靴を履いていると通常より背浮きがかなりしやすくなり、両腕をバンザイしなくても浮きます。
靴を履いているときは両腕は真横か斜め下に伸ばすと疲れにくいです。
その際、足をできるだけ開いて伸ばすと靴の浮力を最大限に活かせます。
水着で裸足のとき
靴を履いてないときは浮力が弱くなる分両腕をバンザイすることで補います。
背浮きしたまま泳ぐ方法
動画の最後で背浮きの状態で泳ぐ方法が紹介されてます。
エレメンタリーバックストローク、というやつですね。
これはやって見るとわかりますが、かなり楽な泳ぎ方です。
クロールや平泳ぎなどと違って全くといっていいほど力を使いません。
私が泳ぐのは苦手ですが、立ち泳ぎや浮くだけの背浮きは得意なのでこの泳ぎ方を自然と覚えました。
実際泳ぐのが苦手な私はクロールだと25mが限界ですが、たぶんこのエレメンタリ-バックストロークなら100m、いや1kmでも余裕だと思います。
それぐらい楽な泳ぎ方です。
溺れそうになったら浮いてるだけでもいいですが、島とか船とかが見えたらこの泳ぎ方でそちらの方向に進むといいでしょう。
海で溺れたときにしてはいけないこと
海に溺れたときの対処法がわかったところで、次に溺れたときに逆にしてはいけないことを紹介します。
1. 助けを呼ぶ
助けを呼ぶには叫ぶか手を振り回すかすることが必要です。
でも溺れてるときはこの2つどちらもNG。
叫べば肺の空気を出すことで浮力がなくなり沈んでしまいます。
手を水面から出して振り回せばその分体が沈んでしまいます。
そのため、溺れたらすぐに背浮きの姿勢をとって救助を待つのが正解です。
2. クロールや平泳ぎはしない
次にやってはいけないのはクロールや平泳ぎで泳ごうとすること。
クロールも平泳ぎもかなり体力を消耗します。
溺れてる時点でどちらもできないかもしれませんが、そもそも泳ごうとすること自体NGということです。
泳ぐとしても背浮きしながら体力を使わずに泳げるエレメンタリーバックストロークだけにしましょう。
3. 服や靴を脱ぐ
服を着たまま水の中に落ちて溺れた場合、服が重くて泳ぎにくいので脱ぎたくなるかもしれません。
でも水に濡れた服を水の中で脱ぐのはかなり困難でそれだけで体力を消耗してしまいます。
なので服や靴を脱ぐのはやめましょう。
特に靴はすでに説明したように浮き具の一つになるので絶対に脱いではいけません。
4. パニックになって手足をバタバタする
最後に溺れた人がよくやってしまう手足をバタバタさせてもがく行為。
これもかなり体力を消耗する上、逆に水に沈む原因になります。
人間は本能的に呼吸しなきゃと思って水面を下に叩きつけるようにしてもがいたり、どうにかして顔を水面から出そうとしたりしますが、浮力的に水面から出せるのはたったの2~5%のみ。
呼吸したければ顔の表面だけ出してあとは水の中に入れることが必要です。
焦る気持ちを抑えて心の中で深呼吸し、ゆっくり背浮きの姿勢を取りましょう。
そもそも溺れないことが大事。海で溺れるのを防ぐ5つの方法
溺れた時の対処法は万が一のときに使うものです。
いくら溺れたときの対処法を覚えたところで、いざ溺れたら冷静に対処できるとは限りませんし、上記の方法をとったからといって必ずしも助かるわけではありません。
溺れたときの対処法よりも前にまず溺れない対策をした方がいいです。
というわけで海で溺れることを予防するための5つの方法を紹介します。
1. 遊泳禁止区域には絶対に近づかない
上で紹介した離岸流や逆潛流などの危険な事故につながる海の流れは、遊泳禁止区域に指定されてることが多いです。
上記で説明した通り、離岸流や逆潛流は非常に危険です。
そのため、遊泳禁止エリアには絶対に近づかないようにしましょう。
2. ビーチボールが流されてしまっても追いかけない
海での水難事故で特に多いのはビーチボールで遊んでいてピーチポールが遊泳禁止エリアに流されてしまい、それを取りに行こうとした人が溺れるパターンです。
気持ちはわかりますが命とビーチボールどっちが大事ですか?
ビーチボールを取りに行く時は必ずボールが遊泳禁止エリアに入ってないか確認し、入ってしまってる時は諦めましょう。
また友達が取りに行こうとしたら必ず止めてください。
3. お酒を飲んで海に入らない
海で遊ぶ人は砂浜でお酒を飲む人も多いと思います。
ビーチでお酒を飲むのであれば泳いだ後にしましょう。
飲んだ後に泳ぐのは絶対にNGです。
酔った状態で泳ぐのは非常に危険ですし、その時は酔ってなくても泳いで体を動かすことで酔いが回りやすくなります。
泳いでる最中に海のど真ん中で酔いが回ると溺れます。
酔いが回って体に力が入らなず、かつ判断力も鈍ってるのでこうなるとかなりの確率で死に繋がります。
さらに助けようとした友人まで死ぬ危険が高いので絶対にやめましょう。
また飲酒直後に海に入ると心臓発作が起こりやすくなると言われています。
海の中で心臓発作が起こると呼吸ができずそのまま沈んで行くのでこちらも高確率で死に至ります。
しかしお酒に酔ってしまうとふざけて海に突っ込んでいったりする人もいるので悪酔いしないよう気を付けてください。
意識が飛ぶまで飲んで気づいたときには溺れててそのまま死んだなんて最悪ですからね。
4. 泳ぎに自信がない人は足がつかないところに絶対行かない
次に泳ぎに自信がないのに海に入る人へ。
絶対に足がつかないところには行かないようにしましょう。
行くなら少なくとも立ち泳ぎ、または上で紹介した背浮きができることが前提です。
海にはほんのちょっと進んだだけで急に深くなる場所があったりします。
泳ぎに自信がない人は念には念を入れて腰の深さ以上のところには行かないようにしましょう。
5. 誰もいないビーチでは泳がない
次に人気のないビーチで泳ぐこと。
ビーチにもいろいろありますが、まったく人がいない穴場的なビーチもあります。
というかそれはビーチというよりただの海岸ですね。
こういう場所で遊ぶのはいいですが、泳ぐのはやめておきましょう。
ライフセーバーもいませんし、周りに助けてくれる人がいません。
そんな場所でもし溺れたら救急車を呼んで助けを求めるしかありませんが、時間がかかるので基本来る前に溺れ死にます。(背浮きをした場合をのぞく)
基本的に泳ぐのであれば普通に人がいるビーチにしましょう。
まとめ
以上、海で溺れた時の対処法についてお話ししてきました。
まとめると
- 海で溺れると危険 2人に1人は死ぬ
- 海が危険な理由は離岸流や逆潮流など、危険な波の流れがあるため
- 海で溺れても助かるためにはまず離岸流や逆潮流の対策を知ること
- 溺れかけたときは長時間浮いていられる背浮きを行って救助を待つこと
でした。
海で楽しい思い出を作るつもりが溺れて死んでしまったら絶対天国で後悔しますよね。
この記事を参考に溺れないための対策&溺れた時の対策をバッチリ整えてから行きましょう。
また、子供や友人が溺れた時に助けようとした人が溺れ死ぬ2次災害のケースも非常に多いです。
人を助けるつもりが自分も死んでしまっては元も子もありません。
助けたいならまず救急車かライフセーバーを呼ぶ。
そして自分で助けに行かずに浮き具となるものを投げてあげたり、助けに行くしかないときはライフジャケットなどの浮き具を使うかロープなどを使って絶対に自分が溺れないように対策してから飛び込むようにしてください。
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