突然スズメバチに刺されると、人は頭が真っ白になってしまうと思います。
やばい! どうしよう! 死ぬかもしれない!って思っちゃいますよね。
大丈夫です。死にはしません。
スズメバチに刺されたら救急車は呼ぶべきなのか、また応急処置の仕方についても解説します。
スポンサーリンク
やべぇ!スズメバチに刺されたよ!どうしよう? 俺死んじゃうの?
やべくん、落ち着いて。スズメバチに刺されただけで人は死なないから。
死なないの? 本当に死なないの?
うん、98%の人は死なない。2%の人は死ぬかも。
えー! もし俺がその2%だったらやばいじゃん。
その2%だったとしてもすぐに救急車呼べば助かるよ。
そうなの? よかったー。 ってかそれより痛い!
んじゃそろそろスズメバチに刺されたときの対処法を説明しますね。
スポンサーリンク
スズメバチに刺された! 救急車は呼ぶべきなの?
スズメバチといえば殺人蜂とも言われ、その毒針は人を殺すと恐れられています。
でも本当にスズメバチの毒で人は死ぬんでしょうか?
いいえ、死にません。
スズメバチの毒だけなら人は死にません。
死ぬのは人間自身の過剰なアレルギー反応による自滅です。
これをアナフィラキシーショックと呼びます。
アナフィラキシーショックとは?
アナフィラキシーショックは花粉症などと同じアレルギー反応のひとつです。
アナフィラキシーショックが起きると全身にじんましんなどの症状が出て、最悪心臓止まります。
でもスズメバチに刺された人全員にアナフィラキシーショックが起きて心肺停止に行くわけではなく、アナフィラキシーショックによる全身症状が出る人が20%くらいいて、そのうち2%程度の人が心肺停止までいくのです。
症状が出た20%の人のうちどんな症状の人が心肺停止に至るかまでは正確にわからないため、とにかく全身症状が出たら救急車呼ぶべきです。
15分で心肺停止しちゃうのでアナフィラキシーショックの兆候が見られたらすぐに救急車を呼ばなければ助かりません。
スポンサーリンク
アナフィラキシーショックの症状
ではスズメバチに刺された人のうち20%程度の人に出るアナフィラキシーショックの症状はどんなものなのか見ていきましょう。
- じんましん
- ひどい痒み
- 動悸がする
- 吐き気
- めまい
- 嘔吐
- 呼吸困難
- 全身の倦怠感
- 口の渇き
- 下痢
- 意識障害
- 痙攣
こんな症状が出たらためらわずすぐ救急車を呼んでください。
ちなみに東京で救急車を呼ぶと平均7分54秒で到着するそうです。
蜂毒によるアナフィラキシーショックで心肺停止に至るまでは15分なのでなんとか間に合うはずです。
アナフィラキシーショック怖い! 15分後に俺は死ぬ可能性があるなんて・・・。
確かに15分で死んじゃったら何もできなくてかわいそうだね。
怖いから救急車呼んでいい?
やべくん、君全然アナフィラキシーショックの症状出てないよ。
そういえばそうかも。 いやそれより痛いわ! 早くこの痛みなんとかして!
はいはい、わかった。それじゃ次は応急処置の手順を解説しますね。
ちなみにスズメバチに刺された人のうち80%の人は応急処置だけすれば死の危険はないので病院行かなくても平気です。
スポンサーリンク
スズメバチに刺されたときの応急処置の手順
スズメバチに刺されたときは以下の手順で応急処置を施します。
- まず避難する
- 毒を絞り出す
- 傷口をお湯で洗い温める
- 薬を塗る
まず避難
スズメバチに刺された場合、その場の状況によってはまず逃げることが先決です。
山の中とか外で刺された場合、近くにスズメバチの巣があるかもしれません。
スズメバチに刺されると刺された箇所から蜂のフェロモンが出ていて他の蜂を呼び寄せてしまいます。
だからその場にとどまってると次々に別のスズメバチが襲ってきてめった刺しにされる、なんてこともあり得ます。
なのですぐに走って安全な距離まで逃げましょう。
100mぐらい離れれば大丈夫です。
毒を絞り出す
避難したらまずやることは毒の絞り出しです。
傷口周辺の皮膚を指でつねるようにして毒を絞り出します。
このとき口で吸う方法もありますがおすすめしません。
なぜなら虫歯などから毒が入ってしまい、逆効果になりからです。
一番いいのはポイズンリムーバーという専用の器具を使うことです。
山に行く人はあらかじめ用意しておくといいでしょう。
スズメバチの毒は非常に強力なのでできるだけ早く絞り出さないと症状が後引きます。
アナフィラキシーショックが起きず、死ぬ危険はなかったとしても激しい痛みや痒み、腫れが結構続くことになるのでつらいです。
刺されたときの症状は程度も期間も個人差ありますが刺された跡2~3日が痛みのピークで腫れは1週間程続きます。
場合によっては2~3週間経っても腫れがが引かなかったり、痛みが再発したりします。
できるだけ早く治すためにも毒はしっかり絞り出しておくといいです。
おしっこかけるといいって言うけどあれはどうなの?
あぁ、あれか。蜂に刺されたらおしっこ説は完全にデマだよ。
えー? ちびまる子ちゃんでもやってたけど?
まず蜂の毒は中性だからアルカリ性のアンモニアをかけても意味はない。
それにおしっこは出たばかりだとアンモニアが含まれておらず、長時間放置してやっとアンモニアになる。
だから蜂の毒おしっこで中和説は二重の意味で間違ってるんだ。
へぇー。やっぱ嘘だったんだ。
んじゃ応急処置の続きといこうか。
そうだ! 痛いの忘れてた!
っていてぇええええええ!
傷口をお湯で洗い、温める
毒を絞り出した後はまずシャワーの温度を43℃以上に上げてください。
上がったらその熱いシャワーを傷口に当てて絞り出した毒を落とします。
そしてそのまま傷口を温めます。
「え? 温めるの?」
疑問に思うのも当然です。
昔から冷水で冷やすことで毒の回りを遅くでき、痛みや腫れを抑えられると考えられ、長年医者もそう教えてきました。
でもこれは嘘であることがわかったのです。
蜂の毒はタンパク質なので熱に弱いです。
42℃以上になると毒は無効化されます。
ただし、蜂の毒は皮膚の奥に注入されてしまってるので、その部分を42℃にするのは難しいです。
45~48℃くらいの火傷しないギリギリの温度のシャワーを20分くらいかければなんとか42℃に持っていけるかも、というところです。
ちょっと熱いですがここで温めとけば後々腫れたり痒くなったりする症状を抑えられるのでがんばりましょう。
ここで注意点。
お湯をシャワーではなく洗面器などに入れて温めようとするとすぐに42℃以下に冷めてしまうので効果なし。
43℃以上の風呂に全身浸かる、という方法も現実的に無理なのでNG。
なので素直に熱々のシャワーをかけ続ける方法で温めてください。
水道代ガス代がもったいないというならペットボトルなどに熱湯を入れ、熱湯をペットボトル越しに傷口に当てることで傷口の温度42℃以上を実現することも可能っちゃ可能です。
薬を塗る
次は薬を塗ります。
蜂に刺されたときに効く薬は以下の2種類です。
- 抗ヒスタミン軟膏・・・痒みの元になるヒスタミンを和らげる効果がある。
- ステロイド剤抗ヒスタミン軟膏・・・痒みの元になるヒスタミンを和らげる効果がある。
薬がその場にないときは買いに行くか、そのまま病院へ行っちゃうといいです。
※温熱療法で痛みが消えてる場合は薬を塗らなくても大丈夫です。
スズメバチに刺されたら病院に行くか行かないか?
これは結構悩みどころだと思います。
初めてスズメバチに刺されたら病院行かなきゃって思いますよね。
ただ温熱療法で痛みがだいぶ治まっているなら行かなくてもいいと思います。
毒が無効化できてるってことですからね。
これが普通に冷やす治療法の場合、刺された後の痛みがかなり激しく、しかも2~3日続きます。
見た目も結構腫れちゃいますし、放置しといて大丈夫なの?って不安になると思います。
なので流水で冷やす治療法をしてしまった場合は病院に行った方がいいでしょう。
ちなみに蜂に刺された場合、病院は通常皮膚科に行きます。
ただアナフィラキシーショックの疑いがあって病院に行く場合は救急車です。
また土日や夜など、病院がやってないときに刺されたときは休日診療を利用するか迷いますね。
治るまでにかかる期間は?
温熱療法を選んだ場合、すぐ治ります。
翌日には綺麗に治ってる可能性が高いです。
普通に冷やす治療法を選んでしまった場合、個人差ありますがまず鋭い痛みが2~3日続きます。
さらに痒みと腫れが1週間くらいは続きます。
痒いからって掻くと化膿するので我慢しましょう。
また痒みや痛みが引いた後も傷口が完全に消えるまでには1か月以上かかります。
スズメバチに2回刺されるとアナフィラキシーショックになりやすくなるって本当なの?
ねー、老師。俺って1回刺されたじゃん。ってことは次刺されたらやばいってこと?
やばいかもね。蜂毒アレルギーができてるかどうかによるけど。
えー。怖い!どうしよう!
まぁ確率は低いから安心していいよ。
蜂に2回目刺された人のうち10%にアナフィラキシーショックの症状が出て、死ぬまでいくのは2%だけ。
ところで蜂毒アレルギーがあるかどうかはどうやってわかるの?
病院で検査すればわかるよ。でも1回目に刺されたときに症状が重かった人は確率高いよ。
えー。怖いから病院行ってきます。ところで蜂に刺されて死ぬ人ってどれくらいいるの?
いい質問だ。
蜂に刺されて死ぬ人は年間どれくらい?
蜂に刺されて死ぬ人は、意外と少ないです。
- 2011年・・・16人
- 2010年・・・20人
- 2009年・・・13人
- 2008年・・・15人
- 2007年・・・19人
日本国内で蜂による死亡者は年間20人いない程度です。
それに対して蜂に刺される人はどれくらいいるでしょうか?
なんと年間1000人以上いるそうです。
こうしてみると、蜂に刺されて死ぬ確率はかなり低いことがわかります。
適切な応急処置をしたり、アナフィラキシーショックの可能性があるときにすぐに救急車を呼んで医療機関を受診しさえすれば、スズメバチに刺されても死ぬことはありません。
ただやはり2回目以降に刺されるとアナフィラキシーショックが起きる危険性が高まるのは怖いですね。
一応確率的には10%程度と低いですが。
またアナフィラキシーショックでなくても1回目に刺されたときよりも2回目は症状が少し強めに出ることが多いため、アナフィラキシーショックではないかと不安になってしまうと思います。
これは一度入った毒と同じ毒が身体に入ると、毒を追い出そうとアレルギー反応が強く出るためです。
そんな不安に襲われないためにも、2回目刺されたときは病院に行った方がいいでしょう。
また、2回目以降蜂に刺される可能性のある場所に行くときは、エピペンを携帯しておくといいです。
エピペンはアナフィラキシーショックを抑える補助治療剤です。
エピペンの有効時間は15~20分で、その間アナフィラキシーショックの症状を抑えてくれます。
ただあくまで補助薬でしかないので、その後すぐに救急車を呼んで病院に行く必要があります。
エピペン薬局で買えるものではないので、病院で処方してもらってください。
2回目刺されると1回目より症状が強い? 1回目でもこんなに痛いのに??
痛みに関しては心配いらないよ。腫れとか痒みみたいなアレルギー症状がひどくなるだけだから。
よかった。って痒みもひどいの? きついなー。やっぱもう刺されたくないわ。
んじゃスズメバチに刺されないためのコツを教えよう。
スズメバチに刺されないために
スズメバチは攻撃性が高いのは確かですが、無差別に人を襲うほど暇ではありません。
基本的にスズメバチが人を襲うのは次のときだけです。
- 巣に近づいたとき
- 刺激されたとき
1. 巣に近づいたとき
スズメバチにとって巣はとても大事なもの。
蜂には縄張りがあり、巣の半径5m以内に入ってきた人に対しては容赦なく襲います。
また巣の半径10mくらいでも威嚇してくることもあります。
スズメバチの威嚇の仕方は特徴的で、カチカチと顎を鳴らして人の周囲を飛び回ります。
ここで速やかに立ち去らなければ刺されるのですぐに逃げましょう。
また、山の中や畑の中などでは、巣があるのがわかりづらく、無意識に巣に近づいていて襲われるパターンが多いです。
こういう場合に刺されるのはある程度仕方ないことです。
刺されたらただちにその場から離れて安全な場所(100m程度)まで逃げてから応急処置をしてください。
巣の近くで刺されるとどうしても集団で何匹にも刺されてしまう確率が高いです。
逃げるのが遅いとどんどん刺されてしまうため、素早く逃げましょう。
2. 刺激されたとき
次にスズメバチは刺激に対して攻撃的になります。
特にスズメバチが顔の近くにくると、羽の音が「ブーン」と鳴るため、思わず手で振り払ってしまうと思います。
でもそれをやってしまうとスズメバチの場合かなりの確率で刺されます。
いくらスズメバチが目の前を飛んでいても悲鳴を上げたり、動いたりしちゃダメです。
また、このときは周りに他のスズメバチがいないか確認しましょう。
1匹なら動かなければ刺されにくいです。
複数匹いるときは巣が近い可能性が高いので早くその場から逃げないと刺されます。
でもスズメバチは基本的に単独行動してるので1匹に出会うことが多いです。
1匹のときは大仏になって動かない、複数のときはすぐ逃げる、と覚えましょう。
スズメバチが凶暴になる時期は?
ではスズメバチはいつ頃発生するのでしょうか?
スズメバチを含む蜂の発生時期は4月~10月頃です。
が、その中でもスズメバチが凶暴になる時期があります。
それが7~10月です。
この時期のスズメバチは巣に近づくだけで刺してくる場合があります。
野外で活動するときは誤って蜂の巣に近づかないよう充分に気を付けてください。
スズメバチが顔や体に止まったらどうする?
やべぇ!! 巨大なスズメバチが! 俺のう、腕に!!
落ち着いて。動くなよ。
うん。でも怖い! ってうわ!登ってくる。
動いちゃダメ。 それにしゃべらない方がいいよ
うっ・・・・。
大仏になれ。
このように、スズメバチが顔や腕に止まったときは、動かないのが正解です。
大仏になったつもりで、じっとしていましょう。
ミツバチとかなら振り払っても刺されないこともあるんですが、スズメバチだとまず間違いなく刺されます。
顔に止まったときはマジで怖いですが、がんばるしかありません。
でも目を刺されるとヤバいので目は瞑っておきましょう。
蜂は黒いものを狙う傾向があるので危ないです。
ちなみに蜂に目を刺されると高確率で失明します。
実際顔に蜂が止まってるときに目を瞑るのはかなり怖いですけどね。
足がチクチクして痛痒いですし。
これが30秒くらいで飛んで行ってくれればいいんですけど5分とか止まってることもあります。
あまりに長いときは静かに紙でも葉っぱでもいいので近づけて蜂を乗り移らせるといいです。
顔の場合は目を瞑ってると思うでちょっと難しいですが。
とにかくスズメバチは自分から攻撃しません。
ただ例外として、別の場所で誰かに攻撃された恨みを晴らすために近くにいる人を襲うことはあります。
よく蜂の巣に石を投げて攻撃する小学生とかいますからね。
そういうのがない状況であればまず刺されないのでじっとしていれば大丈夫です。
また、スズメバチが顔や腕に止まった時の対処法をこちらの記事に書いてるので参考にしてください。
まとめ
- スズメバチに刺された場合、救急車を呼ぶかどうかはアナフィラキシーショックの症状があるかどうかで決める
- アナフィラキシーショックが起きると15分で心肺停止する危険がある
- スズメバチに刺されたときの応急処置は、まず逃げる、毒を絞り出し、熱いシャワーで洗い流す、薬を塗る
- スズメバチが人を刺すのは巣に近づいたときか、刺激されたとき
- 巣に近づいてしまったときや蜂が複数いるときは素早く逃げるのが正解、1匹だけで巣から離れてるときはじっとしてやり過ごすのが正解
スポンサーリンク